梅雨の季節、気分が沈んだり、イライラしたり、眠れない夜が続いたことはありませんか?
長雨や曇り空が続くと、なんとなく気持ちが晴れない日々を過ごす方も多いでしょう。
実は、梅雨時のメンタル不調には対策があります。正しい知識と方法を知ることで、梅雨の季節を快適に過ごすことができるのです。なぜなら、精神保健福祉士としての視点からみると、これらの不調は予防・改善できるものだからです。
ここでは「梅雨時に陥りやすいメンタル不調5つとおすすめの解消法5選」をお伝えします。
季節性うつ病(季節性情動障害、SAD)、睡眠障害、モチベーションの低下、集中力の低下、慢性的な疲労感といった具体的な不調に対する対策を詳しくご紹介します。
最後まで読んでいただければ、梅雨時でも快適に過ごすための具体的な方法と、日常生活で実践できるメンタルヘルスケアの知識が得られます。
ぜひ、この記事を参考にして、梅雨の季節を前向きに乗り越えましょう。
梅雨時に陥りやすいメンタル不調5つ
1.季節性うつ病(季節性情動障害、SAD)

病気の発見と背景
季節性うつ病(季節性情動障害、SAD)は、1980年代にアメリカの精神科医ノーマン・E・ローゼンタール(Norman E. Rosenthal)によって発見されました。ローゼンタール博士は、季節の変化に伴う気分の変動に注目し、特に日照時間の減少がうつ症状に関連していることを発見しました。
冬季うつとの関連
季節性うつ病は、冬季うつとも呼ばれることがあり、主に冬の短い日照時間に関連しています。しかし、梅雨時の長雨や曇り空が続く期間も日照時間が減少するため、同様の症状が現れることがあります。つまり、日照不足が引き金となるため、梅雨時の日本でも季節性うつ病が発症する可能性があります。
主な症状
- 気分低下
- 過眠症
- 食べ過ぎ・体重増加
- 炭水化物の欲求増加
- 引きこもり(冬眠のような感じ)
ホルモンの影響
セロトニンという神経伝達物質(分泌されると幸せな気分を感じやすくなるため、「幸せホルモン」と呼ばれています)は気分や感情の安定に重要な役割を果たしますが、日照時間の減少により分泌が低下し、気分の落ち込みが発生しやすくなります。
また、メラトニン(睡眠を調節するため、「睡眠ホルモン」と呼ばれています)は、日照時間が短くなると分泌リズムが乱れ、睡眠の質が低下します。
具体的な事例
専門家のアドバイス
季節性うつ病の改善には、人工的な光を利用する光療法が効果的です。また、季節性うつ病の予防には、朝の光を浴びることや定期的な運動、バランスの取れた食事も重要になってきます。
2.睡眠障害

梅雨時の気温と湿度の変化により、睡眠の質が低下しやすくなります。また、日照時間が短くなることで、メラトニンの分泌が乱れやすくなります。
主な症状
- 不眠
- 早朝覚醒
- 過眠
- 睡眠の質の低下
具体的な例
専門家のアドバイス
睡眠障害には、環境の改善が非常に重要です。寝室の温度と湿度を適切に保つこと、寝る前のリラックスした時間を過ごすことが大切です。また、スマートフォンやタブレットなどの電子機器を就寝前に使用しないようにすることも効果的です。電子機器のブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させます。代わりに、読書や瞑想を取り入れるなど、心地よい睡眠への導入環境を整えましょう。
また、規則正しい生活を心がけ、毎日同じ時間に起床し、同じ時間に寝るようにしましょう。体内時計が整い、良質な睡眠が得られるようになります。
さらに、波の音や鳥の囀りなど自然の音を聴くことで安らぎを感じられます。就寝前の1時間はリラックした時間を過ごし、YouTubeなどを利用してヒーリングミュージックを聴くのも効果的です。
3.モチベーションの低下

梅雨の季節は屋外活動が制限されることが多く、セロトニンが不足することでモチベーションが低下しやすくなります。外出が難しくなることで、運動不足や社会的交流の減少、モチベーションの低下に繋がります。また、日照時間の減少がセロトニン分泌を減少させるため、気分の落ち込みや無気力感を引き起こします。
主な症状
- 活動意欲の減退
- 目標設定の難しさ
- パフォーマンスの低下
具体的な例
専門家のアドバイス
モチベーションを維持するためには、小さな目標を設定し、達成感を感じることが重要です。具体的で達成可能な目標を設定しましょう。
また、室内でもできる趣味やオンラインでの交流を取り入れることもモチベーション維持に役立ちます。職場の中では、チームで目標を共有し、互いに励まし合うことで、モチベーションを高める効果も期待できます。
4.集中力の低下

梅雨時の長雨や曇り空が続くと、日照時間の減少や湿度の高さが原因で集中力が低下することがあります。湿度が高くなると、汗の蒸発を妨げ、体温調節が難しくなり、体が疲れやすくなるため、集中力が低下します。また、日照時間の減少は体内時計を乱し、疲労感や注意力の低下を引き起こします。
主な症状
- 集中力が継続しない
- 課題に取り組む際に注意散漫になる
- 記憶力の低下
具体的な例
専門家のアドバイス
集中力を維持するためには、作業環境の改善が必要です。デスクの周りを整理整頓し、湿度の調整をすることが効果的です。
また、ポモドーロ・テクニックや瞑想・呼吸法などを短時間取り入れることで、集中力の向上につながるので、おすすめです。
さらに、栄養バランスの取れた食事や十分な水分補給も集中力維持に重要です。
集中力向上のテクニック
1.ポモドーロ・テクニック
25分間集中して作業し、その後5分間の休憩を取ることを繰り返します。長時間の集中力を維持することができます。
2.瞑想と呼吸法
瞑想と呼吸法を取り入れることで、心を落ち着かせ、集中力を高めることができます。特に、朝や作業の合間に行うと効果的です。
5.慢性的な疲労感

梅雨時の気温や湿度の変化により、体が環境に適応しにくくなり、慢性的な疲労感を感じることがあります。こうした気温や湿度の変化は自律神経に負担をかけ、体がリラックスしにくくなります。そのため、慢性的な疲労感が引き起こされます。さらに、栄養不足や運動不足も疲労感を助長します。
主な症状
- 起床時の疲労感
- 一日中続く倦怠感
- 疲れやすい
具体的な例
専門家のアドバイス
慢性的な疲労感を防ぐためには、栄養バランスの取れた食事と適度な運動が不可欠です。
セロトニンを増やすためには、その原料となる必須アミノ酸の一つトリプトファンを含む食品や、ビタミンB6も重要になります。また、リズミカルな運動やヨガ、ストレッチを定期的に行い、体をリラックスさせましょう。
栄養と運動の具体的な対策
1.栄養バランスの取れた食事
セロトニンを増やすためにおすすめの食べ物は、バナナ、ナッツ、大豆製品、乳製品、赤身魚などがあります。これらの食材を組み合わせることで、効果的なトリプトファンやビタミンB6が摂取できます。
2.適度な運動
運動はセロトニンの分泌を促し、メラトニンの生成にも寄与します。また、運動によって、幸福感が高まり、ストレス軽減に役立ちます。ウォーキングやジョギングなどのリズミカルな運動を定期的に行いましょう。室内でもできるようなストレッチやヨガ、呼吸法などを取り入れ、リラックスする時間を持ち、梅雨時期を乗り越えましょう。
おすすめの解消法5選
1.日光を浴びる

朝の光を浴びることで、セロトニンの分泌を促し、メラトニンのリズムを整えます。朝の散歩やカーテンを開けて自然光を取り入れる工夫をしましょう。規則正しい生活を心がけることで、体内時計を調整し、気分の安定につながります。
2.バランスの取れた食事

セロトニンの生成に必要なトリプトファンやビタミンB6を含む食品を効率よく取り入れ、栄養バランスを整えましょう。
3.適度な運動

ウォーキングやジョギングなどのリズミカルな運動を定期的に行うことで、セロトニンの分泌を促し、ストレス軽減に役立ちます。室内でもできるストレッチやヨガ、呼吸法を取り入れ、リラックスできる時間を持ち、梅雨時期を乗り越えましょう。
4.良好な睡眠環境を整える

エアコンや除湿機を使って快適な温度と湿度を保ち、静かな環境で眠るようにしましょう。就寝前にはヒーリングミュージックを聴くことでリラックスしましょう。また、寝室にはスマートフォンやタブレットなどの電子機器を置かないようにしましょう。
5.小さな目標設定と達成感を得る

日々の小さな目標を設定し、一つ一つ達成していくことで達成感が感じられます。目標は高すぎるものではなく、具体的で達成可能なものを設定することが重要です。
結論

梅雨の季節に陥りやすいメンタル不調は、適切な対策を講じることで予防・改善することができます。日光を浴びる、バランスの取れた食事、適度な運動、良好な睡眠環境を整える、小さな目標設定と達成感を得るといった方法を実践して、梅雨の季節を快適に過ごしましょう。私自身もこれらの対策を実践し、効果を実感しています。あなたもぜひ、日々の生活に取り入れてみてください。
- 参考文献:厚生労働省eJIM
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